「清川先生が困っても私は困らないわ。聖也とお祭りに回ることを楽しみにしていたのよ! その楽しみを奪おうって言うの?」
「ですから――」
「もういいでしょう。後にして」
話をしている最中だったのに、羽鳥さんは私を押しのけてその場を去ってしまった。あまりの自分勝手さに頭が真っ白になり、つい追いかけるのが遅れてしまった。その隙に彼女の姿を見失ってしまった。
見回すと、スタスタと前方を歩いて行く羽鳥さんは園入り口からすぐの店――おめん屋の前で立ち止まっていた。私は慌てて追いかけたが声だけが聴こえてきた。
「小倉さん、どうも」
「羽鳥さん! 一体なにをされていたんですか! もう五時を回っているんですよ!!」
小倉さんの怒った声がおめん屋の方から聞こえて来る。
彼女が怒るのは当然だ。しかしこんなところでモメさせるわけにはいかないので、すぐに走って追いかけた。「清川先生が私の代わりに店番をしてくれますから」
「はあぁっ!? 羽鳥さん、貴女ね――」
「そういうことだからあ、おめん一つ下さい。聖也、好きなの選んでいいわよ」
「――羽鳥さんっ。お待ち下さい」 私は彼女に呼び掛けた。あまりの身勝手さに身体も声も震えてしまう。 大声で怒鳴ったりしないように、必死に自分の気持ちをセーブした。私が問題を起こすわけにはいかない。 「お待ちください。まだ話は終わっていませんよ。小倉さんに謝って――」「しつこいなあ! 清川先生が私の代わりに当番すればいいでしょっ。いつも私に迷惑かけているんだから、こんな時くらい役に立ちなさいよ!」
捨て台詞を浴びせられ、プイ、と顔を背けられ、羽鳥さんはおめんのチケットを受け取り台に叩きつけると、聖也君の手を引いて彼女は行ってしまった。
全てを終えた帰り道、なんとなく話を聞いて欲しくて玄さんにメッセージを送ってみた。しかし既読にはならなかった。暇だと言っていたお店は土曜日だから忙しいのかも。 時間が合えば飲みに行こうと思ったけれど、返信が無いなら仕方ない。そのまま家に帰った。 ゆうた君には当たり障りの無いメッセージを送ってみたが、こちらも既読にならなかった。本当の彼氏でも無いし、ただマッチングアプリで見知っただけの関係なのだから、落胆することも無い。 こういう時に話を聞いてくれる彼氏がいてくれたらなぁ、と切に思う。 胸の内を誰かに聞いて欲しくて、同調して欲しくて、SNSの方に『今日大変な事があった。生きていくのが辛い』と思わず書いてしまった。すると、あおいChanが『因果応報という言葉があります。悪いことをした覚えはありませんか?』とリプライ。 因果応報? 私、別に悪いことなんかしてないのに。 どうして見ず知らずの人に、そんな風に言われなきゃいけないの? つまらないこと、書かなきゃよかった。 でもこれがネットの世界。求めている意見と違う反応が来ることだってある。面と向かって言わない分、悪意や本音が曝け出されるのだ。 辛いなあ。 普段なら流せる所なのに今日はダメージが大きく、思わず涙が零れた。 あおいさんは私がSNSに記事を投稿するとすぐに『いいね』や『コメント』をくれる。好意的なものが多いがしかし、そのスピードが尋常ではないから少し怖い。 今の投稿もそうだ。ただの愚痴なのに、投稿してからほんの一、二分で今のコメントが入った。 私を気に入ってくれたのは嬉しいけれど、粘着質な気もする。 もうSNSに記事を投稿するのはやめよう。無視するのは気が引けるけれど、この先続けなければいい。いつもは彼女へすぐ返信をしていたけれど、返さないことにした。 普通に仲良くなりたかったけれど、ネットの世界はリアルのように顔も見れないから、悪質な本音が流れてしまう。あおいさんは『気を付けなさい』と私を戒めるつもりだったのかもしれないけれ
目の前の彼は身長百八十センチはありそうな長身。力強い目力に彫りの深い顔立ち。当然目鼻立ちは整っていて、驚くほど秀麗な容姿の持ち主だった。清潔な感じの短髪は黒。ワイルドなイケメンという感じだった。 思わず見惚れた。「そのクリーム色みたいなワンピース、Mさんで間違いないよね?」 私が返事をしないものだから再度尋ねられた。「あ、は、はい! Mです。よろしくお願いします!」 慌てて頭を下げた。 今日は夏らしく淡いイエローのワンピースをチョイスした。寒くなってはいけないからと、七分丈の白いカーディガンも着用中。Aラインのプリーツ加工のワンピースもお気に入りで、深いグリーンのラインストーンが付いたやや低めのヒールサンダルをチョイス。歩き回ってもいいように、ヒールは低いものにしておいたのだ。このコーデを目印にと伝えておいた。「じゃ、Mさんとっておきの店に連れて行ってくれよ。楽しみにしていたんだ」 玄さんが笑った。なんて素敵な笑顔なの―― まさかこんな――驚くほどのイケメンが現れるなんて夢にも思わなかった。面白い切り返しをする人だから、もっとひょうきんな人かと思っていた。 マスクで隠された顔はわかりにくかったし、容姿については(失礼だけれど)全然期待していなかった。楽しくお喋りができて打ち解けられたらと思っていたのに。 こんなイケメンが来るなんて、聞いてない!!「で? とっておきの店ってどこ?」「あの…」 焼き鳥とホルモンどっちがいいですか、って、こんなイケメンに聞きにくいよ!「言っとくけど洒落た店には行く気ないから。そういうのは間に合ってる。だから遠慮しないで、決めてきた店に連れて行って欲しい」 えええ――…そう言われて仕方なく用意していた選択肢を伝えた。「…焼き鳥とホルモンのお店、どっちがいいですか?」「えっ、そんな店連れてってくれるの? いいねー。じゃ、ホルモンにしよう」「…」 喜ばれて複雑になった。どっちもカウンター飲み
「いらっしゃい!」 愛想のいい元気な初老の女性が店主。カウンターしかないその店は手狭で、ベテランの彼女が専用の焼き機で焼いてくれるホルモンは安くて絶品。学生の頃に家賃が安いからこの辺りに住んでいて、よく食べに来た。「眞子ちゃん来てくれたの! 久しぶりじゃないか。元気?」 おおっと。いきなり個人情報流出案件! 私が眞子だって玄さんに知られちゃった。でも、カウンターでMさんとか言っていると怪しいし、仕方ないか。自己紹介くらいはした方がいいよね。 もう少し広いお店にすればよかったと後悔したが、時すでに遅し。「生ビールにするかい?」「うん。玄さんはなにを飲む?」「じゃあ俺も生ビールで」「じゃあ、さっちゃん、生ビール2つ」 彼女は三田(さんだ)さん。お店を出す時、「サンダ」にすると覚えにくいから、「サンちゃん」にしたんだって。だからみんなから「サンちゃん」とか「さっちゃん」と呼ばれている。「レトロでいいな」「でしょ! 玄さんみたいな人には合わないと思うけど」「そうかな。偏見だ」 いやでも隣に座る玄さんはめちゃくちゃ品があって、あまり下町に馴染んでいないような気がする。どちらかといえば、ハイソな雰囲気で、上流階級の人に見える。「注文はどうしますか? 一本百円からなので、一人五本以上は注文しなきゃいけないんです。あ、でも、ペロっといけますよ。ここのホルモンはほんとに絶品なんです!」 思わず力説してしまった。「そうなんだ。俺はわからないから、Mっ…と、君に任せるよ」 私の顔なじみであるさっちゃんへの配慮だろう。Mとか呼んでいたらおかしいもんね。「眞子です。眞子って呼んで下さい」 開口一発で身バレしちゃう本名(下の名前だけだけれど)さっちゃんが言っちゃったもんね。まあ、苗字知らないからいいと思うけど。私も玄さんの名前、『玄』しか知らないし、実際の名前かどうかもわからないし。「ん、眞子ね。りょーかい」 イケメンに眞子って呼び捨てさ
「辛い時は声をあげていいと思うけど…それができないから、俺みたいな得体のしれないヤツに愚痴ってるわけだし、反論できないから困っているんだよなぁ」 こちらの気持ちをぜんぶわかってくれる玄さんが凄い。「でもな、眞子。喧嘩をしろとは言わないけれど、出来ないものは出来ないと、はっきり言った方がいい。不当な要求についてもだ。じゃないとモンペはどんどん付け上がる。人生の先輩として、アドバイスしておく」「はい。ありがとうございます!」 そっか。やっぱり出来ないことや理不尽なことは、強くつっぱねてもいいんだ! 次は頑張ろう。もっと上手に立ち回りたい。「素直でよろしい」 にこっと玄さんが笑った。この人、イケメンな上に性格超いい! こんな人とお付き合い――って、短絡的に考えちゃダメ。I.Nさんの二の舞になるかもしれないし! でも婚活アプリ登録しているくらいだから、出会い求めて――って、こんなイケメンに出会い要る? 婚活のチャンスなんか幾らでも転がってそうだし、わざわざ素性の知れない女性と繋がりを持つなんて、要らなくない? きっと彼には秘密があるんだ! 解らないけど! なんとなく!!「次があった時、玄さんのアドバイスを思い出して頑張ってみます」「そうしてみて」「はい」 あ。そっか。玄さんとは深い仲にならなかったらいいのか。 イケメンの男友達って、今までいなかったからちょっと優越感あるし。「あの、玄さんのこと、聞いてもいいですか?」「そんなに語れるものないけど」 なんかクギ刺されてる感ある?「お店は最近どうですか? お客様増えましたか?」 先ずは気になっていたことを聞いた。「あ、うん。なんか急に客が増えた。最近連日忙しい」「そうなんですね! それは良かったです!」 玄さんのお店が繁盛していることを聞いて、とても嬉しく思った。「すごく喜んでくれるんだな」「はい! モチロンです! 愚痴友ですから。自分のことのように嬉しいです」「はは、そっか。眞子がそう言ってくれたらいい気分だ」 玄さんは照れ臭そうに笑ってくれた。きゅんとする笑顔。可愛らしい一面もあるんだ。「玄さんのお店ですが、どんなお店か教えてくれませんが、なにか理由があるのですか?」「いや、別に。じゃあ聞くけど、眞子は俺の店、どんな店だと思う?」
「眞子。このクイズ、一生当てられそうにないからもういいだろ」「えー、気になりますよぉー」 と、ハタから見ると仲睦まじい様子に見えたらしく、熱々カップルに熱々ホルモンお待ち、とさっちゃんができたてのホルモンを持ってきた。「わ、うまそう」 結果玄さんのお店の話は打ち切りになってしまった。蒸し返すとしつこい女と思われるから、聞きにくい。結果謎のまま。「ビールおかわりしましょうか。さっちゃん、ビール追加。生で!」「はいよー」 彼女はまたニヤニヤしながら親指でグッドポーズを取って、ドリンクを作りに行った。生ビールなのですぐ目の前に置かれる。焼きたてのホルモンとビールを胃に収めると、最高の一言しか出ない。「めちゃくちゃうまい」 おまかせホルモン五本セットは聞き馴染みのない部位を詰め合わせたものだけれど、おいしすぎてあっという間になくなった。狭い店内はすでに混雑している。時間がかかると思ったので、私のおすすめチョイスと玄さんの気に入っていたシマチョウ串を入れて、十本ほど追加注文した。「ん、これは…?」 他愛もない話を交わしていると、焼き上がったホルモンが置かれた。見慣れない凹凸のある部位が刺さった串を不思議そうに見つめる玄さんは、すごく純粋な目をしている。まるで幼稚園児の子供と変わらない。面白い人だ。 「眞子、この凹凸のある気持ち悪いやつ、なに?」「これは【ハチノス】です。結構おいしいですよ」「え、これ、食べるの?」 ピーマン苦手な子が嫌な顔をするのと同じような雰囲気で玄さんは顔をしかめた。ふふ。本当にうちの園児みたい。「大丈夫。先生がまず見本を見せてあげるよ。ちゃんと食べられるから」 思わず園児に語る口調になってしまい、不安にさせないようににっこり笑って美味しそうに食べて見せる。「んー、おいしい! こんなに美味しいのに食べられないなんて勿体ないよ。要らないなら、玄君の分も先生が食べちゃおうかなー」「だめ」 私に取られると思った玄さんが、思わず皿を遠くへやり、ハチノスを掴んで食べた。渋面だったのは最初だけで、咀嚼するごとに表情の変化が訪れる。「うまいっ」「でしょ? 見た目は確かに気持ち悪いですが、食べないなんて勿体ないです」「なんか、眞子先生にいいようにやられた気がする」「ふふ。毎日こうやって子供に苦手な給食を食べさせているん
「えっ、使えない?」彼の端麗な顔に焦りの色が浮かんだ。 事件が起こったのは、お会計の時。 玄さんが「俺が払うから」と漆黒のカードケースからブラックカードを取り出したの! ブラックカードなんて初めて見た。こんなものを持っている玄さんは、何者? それより、ホルモン焼き屋でブラックカード使って支払おうとしている人、初めて見た。「ごめんなさいね。うちでカードは使えないよ」 この経緯があり、先程の玄さんの焦った顔に戻る。「じゃあ、こっちは?」 スマートフォンを取り出す。アプリ支払いってことかな?「スマートフォンをどうするの?」さっちゃんは首を傾げている。「アプリで支払いは…タッチ決済とか」「よくわからないけれど、現金主義なもので。現金で払っておくれ」 まずい、という顔になった。どうやら玄さんは現金を持っていないらしく、非常に焦っている。「さっちゃん、一旦私が払うから。これで」 一万円を渡し、会計をしてもらってお釣りを受け取って店を出た。これ以上玄さんに恥をかかせられない。「眞子、ごめん。俺が出すって言ったのに。少し待っててくれるか。お金をどこかで下ろしてきて、食事代金払うから」「いいよ、そんなの。最初から奢って貰うつもりじゃなかったし、ここのお会計、安いから私でも払えるもの。今日は楽しかった。だからそのお礼。ありがとう、玄さん」 談笑してすっかり打ち解けた私たちは、敬語が取れた。 今日はビールを二杯と、レモン酎ハイを一杯飲んだから、顔が赤くなっている。身体も熱くて、ほろ酔い気分だ。「まさか、カードやアプリまで使えない店があるなんて。完全に俺のリサーチ不足だった。今度埋め合わせさせて欲しい。このままじゃカッコつかないし、ほんとごめん」 こんなイケメンでも恰好つかないことがあるんだ。現金払いしか受け付けないっていうようなお店、彼は初めてなんだ。玄さんの言葉に、嘘は無かった――「もう気にしないで。それより次、またどこかに食
「眞子 いいか」 彼の吐息が私の頬をくすぐった。「ふっ…」 熱いキス。もう、これだけで溶けてしまいそう――彼の手が私の胸を包み込んだ。 あっ……思わず声が漏れる。 甘い快楽の予感に身体の芯がとろけていく。 彼の指がゆっくりと私のドレスにかけられた。 熱い……肌が触れ合うだけで感じてしまうほど、身体中が敏感になっている。 吐息、指、視線…それらすべてが私の肌に触れるたび、自分でも驚くほどの甘い声が漏れてしまう。 彼は私を抱き上げベッドに運ぶと、そのまま激しくキスをした。 なにも考えられなくなるようなキス。(どうして…こんなことに…)「眞子」 熱のこもった低い声で名前を呼ばれると、体がかっと熱くなる。 抗えない。 止められない。「君はいつも午前0時前に帰ってしまうシンデレラだ。でも、今日は帰したくない」 彼の唇が私の首筋を這い、熱い吐息が肌をくすぐる。肌にまとわりついていたドレスを丁寧に脱がせ、露わになった胸先に触れる。「んあっ…!」 情熱的な刺激に思わず悲鳴が上がる。何度か繰り返され、やがて彼は私をうつぶせに寝かせると、背中にキスの雨を降らせた。 そして……唇が背中を這う。 この人は秘密が多すぎる。 今ならまだ引き返せる。この手を払い、ひとこと「やめて」と言えば、彼は無理強いしたりしない。 ホテルの壁時計を見た。もう、針は0時を回りそう。 引き返すには遅すぎた。戻れない…。 この人とひとつになることを、私は望んでいるから――…
「結婚、おめでとう―――」 駆けつけた友人たちの掛け声と共に、私の目の前でフラワーシャワーが舞った。 純白のドレスとお揃いのふわりと広がるチュールボレロはオフショルの肩を優しく包み、ハイネックにも白い上品なレースの刺繍が散りばめられている手の込んだ一品。その白い花はまるで本物の花に見まがうほどの出来栄え。 そんな美しい純白のウェディングドレスに包まれているのは、小学校からの親友、増山百花(ますやまももか)、二十九歳。今日の彼女は、人生の中で恐らく一番輝いていて美しい。 しかし何故、彼女は私の目の前でこんなに美しく輝いているのだろうか。 というのも、彼氏ができないと、つい二か月ほど前に彼女と女子会と称した飲み会でぼやき、愚痴ったばかり。寝耳に水な話で驚きを隠せない上、微妙に裏切られた気分になっているのはなぜだろう。 こうして私は今日、仲のいい友人たちの中でいよいよ最後のおひとりさまとなってしまった。 いや、でも、彼女の幸せを祝福したい! おめでたい席で後ろ向きな発言はダメだとは思うけれど。 気を利かせてか、私を見てウィンクした彼女。ブーケを投げてくれた百花の優しさというかおせっかいというか、キャッチしてしまってから言うのも何だけれど、複雑な気分になってしまう。 もやもや。「眞子ぉ――。来てくれてありがとう!」 百花は現実主義なのであまりお金は掛けず、アットホームな結婚式に落ち着かせた。披露宴中、高砂席に座った百花に挨拶に行ったら、ぎゅーっと抱きしめてくれた。 彼女の破顔した顔を見ると、小さなことでもやもやしている自分が恥ずかしくなってしまう。親友の祝福を心からしたいのに、もやついている自分が悪に思えた。「百花が幸せになるのは嬉しいけれど、ちょっと淋しいよー!」 気を遣わない友達だからつい本音を言ってしまった。いいよね、少しくらい。幸せを祝う気持ちは十分にあるのだから!「そうだよね。私も眞子の立場だったら、同じように思う! だからさ、いいこと教えてあげようと思って!」 スマホ貸して、と百花に手を伸ばされたのでそれに従った。「実はさー、今日の相手、婚活アプリで見つけたんだぁ」「こ、婚活アプリぃ!?」 なんと! 利用が初めてだった百花は、マッチングした一人目の相手と速攻で意気投合からのゴールインだと言う。 そんな…いきなり一人目で
「えっ、使えない?」彼の端麗な顔に焦りの色が浮かんだ。 事件が起こったのは、お会計の時。 玄さんが「俺が払うから」と漆黒のカードケースからブラックカードを取り出したの! ブラックカードなんて初めて見た。こんなものを持っている玄さんは、何者? それより、ホルモン焼き屋でブラックカード使って支払おうとしている人、初めて見た。「ごめんなさいね。うちでカードは使えないよ」 この経緯があり、先程の玄さんの焦った顔に戻る。「じゃあ、こっちは?」 スマートフォンを取り出す。アプリ支払いってことかな?「スマートフォンをどうするの?」さっちゃんは首を傾げている。「アプリで支払いは…タッチ決済とか」「よくわからないけれど、現金主義なもので。現金で払っておくれ」 まずい、という顔になった。どうやら玄さんは現金を持っていないらしく、非常に焦っている。「さっちゃん、一旦私が払うから。これで」 一万円を渡し、会計をしてもらってお釣りを受け取って店を出た。これ以上玄さんに恥をかかせられない。「眞子、ごめん。俺が出すって言ったのに。少し待っててくれるか。お金をどこかで下ろしてきて、食事代金払うから」「いいよ、そんなの。最初から奢って貰うつもりじゃなかったし、ここのお会計、安いから私でも払えるもの。今日は楽しかった。だからそのお礼。ありがとう、玄さん」 談笑してすっかり打ち解けた私たちは、敬語が取れた。 今日はビールを二杯と、レモン酎ハイを一杯飲んだから、顔が赤くなっている。身体も熱くて、ほろ酔い気分だ。「まさか、カードやアプリまで使えない店があるなんて。完全に俺のリサーチ不足だった。今度埋め合わせさせて欲しい。このままじゃカッコつかないし、ほんとごめん」 こんなイケメンでも恰好つかないことがあるんだ。現金払いしか受け付けないっていうようなお店、彼は初めてなんだ。玄さんの言葉に、嘘は無かった――「もう気にしないで。それより次、またどこかに食
「眞子。このクイズ、一生当てられそうにないからもういいだろ」「えー、気になりますよぉー」 と、ハタから見ると仲睦まじい様子に見えたらしく、熱々カップルに熱々ホルモンお待ち、とさっちゃんができたてのホルモンを持ってきた。「わ、うまそう」 結果玄さんのお店の話は打ち切りになってしまった。蒸し返すとしつこい女と思われるから、聞きにくい。結果謎のまま。「ビールおかわりしましょうか。さっちゃん、ビール追加。生で!」「はいよー」 彼女はまたニヤニヤしながら親指でグッドポーズを取って、ドリンクを作りに行った。生ビールなのですぐ目の前に置かれる。焼きたてのホルモンとビールを胃に収めると、最高の一言しか出ない。「めちゃくちゃうまい」 おまかせホルモン五本セットは聞き馴染みのない部位を詰め合わせたものだけれど、おいしすぎてあっという間になくなった。狭い店内はすでに混雑している。時間がかかると思ったので、私のおすすめチョイスと玄さんの気に入っていたシマチョウ串を入れて、十本ほど追加注文した。「ん、これは…?」 他愛もない話を交わしていると、焼き上がったホルモンが置かれた。見慣れない凹凸のある部位が刺さった串を不思議そうに見つめる玄さんは、すごく純粋な目をしている。まるで幼稚園児の子供と変わらない。面白い人だ。 「眞子、この凹凸のある気持ち悪いやつ、なに?」「これは【ハチノス】です。結構おいしいですよ」「え、これ、食べるの?」 ピーマン苦手な子が嫌な顔をするのと同じような雰囲気で玄さんは顔をしかめた。ふふ。本当にうちの園児みたい。「大丈夫。先生がまず見本を見せてあげるよ。ちゃんと食べられるから」 思わず園児に語る口調になってしまい、不安にさせないようににっこり笑って美味しそうに食べて見せる。「んー、おいしい! こんなに美味しいのに食べられないなんて勿体ないよ。要らないなら、玄君の分も先生が食べちゃおうかなー」「だめ」 私に取られると思った玄さんが、思わず皿を遠くへやり、ハチノスを掴んで食べた。渋面だったのは最初だけで、咀嚼するごとに表情の変化が訪れる。「うまいっ」「でしょ? 見た目は確かに気持ち悪いですが、食べないなんて勿体ないです」「なんか、眞子先生にいいようにやられた気がする」「ふふ。毎日こうやって子供に苦手な給食を食べさせているん
「辛い時は声をあげていいと思うけど…それができないから、俺みたいな得体のしれないヤツに愚痴ってるわけだし、反論できないから困っているんだよなぁ」 こちらの気持ちをぜんぶわかってくれる玄さんが凄い。「でもな、眞子。喧嘩をしろとは言わないけれど、出来ないものは出来ないと、はっきり言った方がいい。不当な要求についてもだ。じゃないとモンペはどんどん付け上がる。人生の先輩として、アドバイスしておく」「はい。ありがとうございます!」 そっか。やっぱり出来ないことや理不尽なことは、強くつっぱねてもいいんだ! 次は頑張ろう。もっと上手に立ち回りたい。「素直でよろしい」 にこっと玄さんが笑った。この人、イケメンな上に性格超いい! こんな人とお付き合い――って、短絡的に考えちゃダメ。I.Nさんの二の舞になるかもしれないし! でも婚活アプリ登録しているくらいだから、出会い求めて――って、こんなイケメンに出会い要る? 婚活のチャンスなんか幾らでも転がってそうだし、わざわざ素性の知れない女性と繋がりを持つなんて、要らなくない? きっと彼には秘密があるんだ! 解らないけど! なんとなく!!「次があった時、玄さんのアドバイスを思い出して頑張ってみます」「そうしてみて」「はい」 あ。そっか。玄さんとは深い仲にならなかったらいいのか。 イケメンの男友達って、今までいなかったからちょっと優越感あるし。「あの、玄さんのこと、聞いてもいいですか?」「そんなに語れるものないけど」 なんかクギ刺されてる感ある?「お店は最近どうですか? お客様増えましたか?」 先ずは気になっていたことを聞いた。「あ、うん。なんか急に客が増えた。最近連日忙しい」「そうなんですね! それは良かったです!」 玄さんのお店が繁盛していることを聞いて、とても嬉しく思った。「すごく喜んでくれるんだな」「はい! モチロンです! 愚痴友ですから。自分のことのように嬉しいです」「はは、そっか。眞子がそう言ってくれたらいい気分だ」 玄さんは照れ臭そうに笑ってくれた。きゅんとする笑顔。可愛らしい一面もあるんだ。「玄さんのお店ですが、どんなお店か教えてくれませんが、なにか理由があるのですか?」「いや、別に。じゃあ聞くけど、眞子は俺の店、どんな店だと思う?」
「いらっしゃい!」 愛想のいい元気な初老の女性が店主。カウンターしかないその店は手狭で、ベテランの彼女が専用の焼き機で焼いてくれるホルモンは安くて絶品。学生の頃に家賃が安いからこの辺りに住んでいて、よく食べに来た。「眞子ちゃん来てくれたの! 久しぶりじゃないか。元気?」 おおっと。いきなり個人情報流出案件! 私が眞子だって玄さんに知られちゃった。でも、カウンターでMさんとか言っていると怪しいし、仕方ないか。自己紹介くらいはした方がいいよね。 もう少し広いお店にすればよかったと後悔したが、時すでに遅し。「生ビールにするかい?」「うん。玄さんはなにを飲む?」「じゃあ俺も生ビールで」「じゃあ、さっちゃん、生ビール2つ」 彼女は三田(さんだ)さん。お店を出す時、「サンダ」にすると覚えにくいから、「サンちゃん」にしたんだって。だからみんなから「サンちゃん」とか「さっちゃん」と呼ばれている。「レトロでいいな」「でしょ! 玄さんみたいな人には合わないと思うけど」「そうかな。偏見だ」 いやでも隣に座る玄さんはめちゃくちゃ品があって、あまり下町に馴染んでいないような気がする。どちらかといえば、ハイソな雰囲気で、上流階級の人に見える。「注文はどうしますか? 一本百円からなので、一人五本以上は注文しなきゃいけないんです。あ、でも、ペロっといけますよ。ここのホルモンはほんとに絶品なんです!」 思わず力説してしまった。「そうなんだ。俺はわからないから、Mっ…と、君に任せるよ」 私の顔なじみであるさっちゃんへの配慮だろう。Mとか呼んでいたらおかしいもんね。「眞子です。眞子って呼んで下さい」 開口一発で身バレしちゃう本名(下の名前だけだけれど)さっちゃんが言っちゃったもんね。まあ、苗字知らないからいいと思うけど。私も玄さんの名前、『玄』しか知らないし、実際の名前かどうかもわからないし。「ん、眞子ね。りょーかい」 イケメンに眞子って呼び捨てさ
目の前の彼は身長百八十センチはありそうな長身。力強い目力に彫りの深い顔立ち。当然目鼻立ちは整っていて、驚くほど秀麗な容姿の持ち主だった。清潔な感じの短髪は黒。ワイルドなイケメンという感じだった。 思わず見惚れた。「そのクリーム色みたいなワンピース、Mさんで間違いないよね?」 私が返事をしないものだから再度尋ねられた。「あ、は、はい! Mです。よろしくお願いします!」 慌てて頭を下げた。 今日は夏らしく淡いイエローのワンピースをチョイスした。寒くなってはいけないからと、七分丈の白いカーディガンも着用中。Aラインのプリーツ加工のワンピースもお気に入りで、深いグリーンのラインストーンが付いたやや低めのヒールサンダルをチョイス。歩き回ってもいいように、ヒールは低いものにしておいたのだ。このコーデを目印にと伝えておいた。「じゃ、Mさんとっておきの店に連れて行ってくれよ。楽しみにしていたんだ」 玄さんが笑った。なんて素敵な笑顔なの―― まさかこんな――驚くほどのイケメンが現れるなんて夢にも思わなかった。面白い切り返しをする人だから、もっとひょうきんな人かと思っていた。 マスクで隠された顔はわかりにくかったし、容姿については(失礼だけれど)全然期待していなかった。楽しくお喋りができて打ち解けられたらと思っていたのに。 こんなイケメンが来るなんて、聞いてない!!「で? とっておきの店ってどこ?」「あの…」 焼き鳥とホルモンどっちがいいですか、って、こんなイケメンに聞きにくいよ!「言っとくけど洒落た店には行く気ないから。そういうのは間に合ってる。だから遠慮しないで、決めてきた店に連れて行って欲しい」 えええ――…そう言われて仕方なく用意していた選択肢を伝えた。「…焼き鳥とホルモンのお店、どっちがいいですか?」「えっ、そんな店連れてってくれるの? いいねー。じゃ、ホルモンにしよう」「…」 喜ばれて複雑になった。どっちもカウンター飲み
全てを終えた帰り道、なんとなく話を聞いて欲しくて玄さんにメッセージを送ってみた。しかし既読にはならなかった。暇だと言っていたお店は土曜日だから忙しいのかも。 時間が合えば飲みに行こうと思ったけれど、返信が無いなら仕方ない。そのまま家に帰った。 ゆうた君には当たり障りの無いメッセージを送ってみたが、こちらも既読にならなかった。本当の彼氏でも無いし、ただマッチングアプリで見知っただけの関係なのだから、落胆することも無い。 こういう時に話を聞いてくれる彼氏がいてくれたらなぁ、と切に思う。 胸の内を誰かに聞いて欲しくて、同調して欲しくて、SNSの方に『今日大変な事があった。生きていくのが辛い』と思わず書いてしまった。すると、あおいChanが『因果応報という言葉があります。悪いことをした覚えはありませんか?』とリプライ。 因果応報? 私、別に悪いことなんかしてないのに。 どうして見ず知らずの人に、そんな風に言われなきゃいけないの? つまらないこと、書かなきゃよかった。 でもこれがネットの世界。求めている意見と違う反応が来ることだってある。面と向かって言わない分、悪意や本音が曝け出されるのだ。 辛いなあ。 普段なら流せる所なのに今日はダメージが大きく、思わず涙が零れた。 あおいさんは私がSNSに記事を投稿するとすぐに『いいね』や『コメント』をくれる。好意的なものが多いがしかし、そのスピードが尋常ではないから少し怖い。 今の投稿もそうだ。ただの愚痴なのに、投稿してからほんの一、二分で今のコメントが入った。 私を気に入ってくれたのは嬉しいけれど、粘着質な気もする。 もうSNSに記事を投稿するのはやめよう。無視するのは気が引けるけれど、この先続けなければいい。いつもは彼女へすぐ返信をしていたけれど、返さないことにした。 普通に仲良くなりたかったけれど、ネットの世界はリアルのように顔も見れないから、悪質な本音が流れてしまう。あおいさんは『気を付けなさい』と私を戒めるつもりだったのかもしれないけれ
「集合時間はとっくに過ぎています。羽鳥さんがいらっしゃらなかった分、他のお母様方が小倉さんを手伝って下さって、大変ご迷惑がかかっています。今からお詫びして担当のお仕事を全うして下さい。そうでないと困ります」「清川先生が困っても私は困らないわ。聖也とお祭りに回ることを楽しみにしていたのよ! その楽しみを奪おうって言うの?」「ですから――」「もういいでしょう。後にして」 話をしている最中だったのに、羽鳥さんは私を押しのけてその場を去ってしまった。あまりの自分勝手さに頭が真っ白になり、つい追いかけるのが遅れてしまった。その隙に彼女の姿を見失ってしまった。 見回すと、スタスタと前方を歩いて行く羽鳥さんは園入り口からすぐの店――おめん屋の前で立ち止まっていた。私は慌てて追いかけたが声だけが聴こえてきた。「小倉さん、どうも」「羽鳥さん! 一体なにをされていたんですか! もう五時を回っているんですよ!!」 小倉さんの怒った声がおめん屋の方から聞こえて来る。 彼女が怒るのは当然だ。しかしこんなところでモメさせるわけにはいかないので、すぐに走って追いかけた。「清川先生が私の代わりに店番をしてくれますから」「はあぁっ!? 羽鳥さん、貴女ね――」「そういうことだからあ、おめん一つ下さい。聖也、好きなの選んでいいわよ」 「――羽鳥さんっ。お待ち下さい」 私は彼女に呼び掛けた。あまりの身勝手さに身体も声も震えてしまう。 大声で怒鳴ったりしないように、必死に自分の気持ちをセーブした。私が問題を起こすわけにはいかない。 「お待ちください。まだ話は終わっていませんよ。小倉さんに謝って――」「しつこいなあ! 清川先生が私の代わりに当番すればいいでしょっ。いつも私に迷惑かけているんだから、こんな時くらい役に立ちなさいよ!」 捨て台詞を浴びせられ、プイ、と顔を背けられ、羽鳥さんはおめんのチケットを受け取り台に叩きつけると、聖也君の手を引いて彼女は行ってしまった。
「清川先生っ」 七夕祭りイベント当日の午後二時半を回った頃。慌ただしく準備をしている私の下に、エプロンを身に着けた小倉昌磨(おぐらしょうま)君のお母様がやって来た。「当番の羽鳥さんが、まだ来ていません!」 ええええ…うそーぉ……。「なんど連絡しても出られないんです! 清川先生からも連絡を取って頂けませんか?」「はい、承知しました」 露店は三時から開始される。あと三十分も無い。 縁日の準備を行っている園庭、それからさくら幼稚園に隣接する離れの遊戯ホールをざっと見たけれど、どこにも聖也君や羽鳥さんの姿は無かった。欠席という話も聞いていない。 慌てて職員室へ駆け込み電話を掛ける。ワンコール、ツーコール、スリーコール…出ない! 三度繰り返したが電話は全て留守番電話に繋がってしまったので、最後の電話に『当番の時間を過ぎても来られないから至急連絡が欲しい』とメッセージを吹き込み、受話器を置いた。「小倉さん申しわけございません。羽鳥さんはお電話に出られないようで、出来る限り私や他の職員がサポートに入るようにします」 聞けば今、彼女が一人で準備をしているという。見かねた担当でない別のお母様方が手伝ってくれているとか。ご立腹の小倉さんに頭を下げて私は奔走した。 ただでさえ足りていない人数で回さなきゃいけないのに、急に一人抜けられてしまったので、段取りが狂ってしまった。 彼女が居ない分、店番を掛け持ちしながら午後五時まで何とか乗り切った所で羽鳥さんが聖也君と一緒に現れた。しかも羽鳥さんは聖也君と同じく浴衣を来て、ばっちり髪の毛やメイクもセットした状態で現れた。――なんなの、この人。 今日は七夕まつりだから、最後に園児が一生懸命練習した踊りを披露するため、子供たちは全員浴衣で来ることになっている。保護者は関係ない。しかし羽鳥さんはキメキメの浴衣とメイクで現れたのだ。「羽鳥さん!」 私は大急ぎで彼女に詰め寄った。「今までどこへ行っていらっしゃったんですか! 今日、当番で二時集合とお知ら
あおいchanというのも気が引けるので、あおいさんと呼ぶことにしている。彼女に返信していると、Love Seaの方が着信を告げた。――元気?(玄) 一言、玄さんからだった。相変わらず愛想無い。――はい、元気ですᐠ( ᐢ ᵕ ᐢ )ᐟ 玄さんはお仕事中?(M)――まあね。店が暇でしょーがない。(玄)――もうすぐ仕事で大きなイベントがあるので、それが終わったら飲みに行きますよ。再来週の週末にでも、玄さんのお店行きたいです( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )(M)――いや、俺の店はもういいよ(笑)多分この店もうヤバイ。だから違うとこ行こう。(玄)――Σ(•̀ω•́ノ)ノエッ だめですよ! ちゃんと店番しないと(ˉ ˘ ˉ; )(M)――店番(笑)ジャイ〇ンかよ(笑)(玄)――ジャイ〇ンが店番していたら、人気店になりますね!(M)――面白いこと言うなぁ。店が繁盛するなら、ジャイ〇ン雇いたいよ(笑)(玄) 玄さんって愛想無いと思っていたけれど、実はそんな事なくて短い一言が面白いなぁ。それにしても、ネコ型ロボットの国民的人気アニメなんか見ているのかな。園児の話に合わせるために、私も見ているけれど。 ホント、玄さんってどんな人なんだろう。 短いやり取りばっかりだけれど、なんとなく話も合うし、いい人なのかなーって思っちゃう。こういうのでコロっと騙されてしまうんだろうな、私みたいな単純人間は。――最近、モンペどう? 嫌がらせされてない?(玄) あ、気にしてくれているんだ。嬉しいな。 ――心配してくれてありがとうございます⸜(๑’ᵕ’๑)⸝ 今の所大丈夫です。次の週末が怖いですが( ´•д•`; )(M)――イベントでモンペとバトルするの?(玄)――違います! 実は・・・・(M) アプリの自分のプロフィールに『幼稚園教員をやっている』と既に書いているので、来週七夕まつりのイベントがあることや、当番に羽鳥さんが当たっていること、ひと悶